近隣家屋調査
(工事現場周辺の建物調査)House Survey

近隣家屋調査とは?

建設工事や解体工事の実施に伴い、現場周辺の家屋に対して工事被害(亀裂・隙間・傾きなど)が発生することがあります。 状況によっては近隣トラブルへと繋がるケースも考えられますが、一方で因果関係(工事の影響)についても精査しておく必要があります。 近隣家屋調査とは、工事着手前の周辺家屋データを適切に把握するものであり、「調査・記録・立証」システムとして効果を発揮します。 ケンセイは近隣家屋調査の専門コンサルタントとして、調査の基本計画から補償算定まで幅広く対応できます。

近隣家屋調査(建物調査)
近隣家屋調査(クラック)

調査当日の流れに関してはこちらをご覧ください。

ご訪問時の流れ(一般の方へ)

近隣家屋調査の適用範囲

各種建設事業に適用できます。上下水道管や一般・高速道路の新設工事、公共施設の建築・解体、マンションや商業施設などの民間事業、 近年はインフラの改築・入替工事にも利用されています。

主な工事例は次の通りです。

土木工事 上下水道、共同溝、道路、河川、法面、造成など
建築工事 集合住宅、一戸建、工場、商業施設、公共施設など
解体工事 各種建築物、基礎杭、地下タンク、長屋(切り離し)など

なお、どれくらいの範囲まで調査を実施すべきなのかは、現場条件により異なります。調査範囲の設定方法についても一度ご相談ください。

お問い合わせ

調査の計画・ご提案

ご要望に応じて調査・計画についてのご相談を承ります。

■実施計画
調査に先立ち、ご依頼者様(発注者、施工主など)と調査の実施計画について協議いたします。 ご要望に応じて現地踏査を実施、諸条件を確認した上で調査プランをご提案させていただきます。 ご提案内容は工事の規模、家屋の状態・立地、車両の通行ルート、周辺地盤・環境等を考慮したものになります。

■環境調査
周辺環境への影響を考慮し、振動・騒音調査交通量調査などをご提案させていただくケースもございます。

近隣家屋調査(実施計画)
近隣家屋調査(環境調査)

事前家屋調査

工事前の家屋調査は、対象家屋の劣化状況(経年・被災)や垂直・水平値(傾斜度)、開口部(建具等)の状況、現況の地盤高(水準レベル)などを計測して記録いたします。 記録媒体はデジタルカメラ、もしくはフィルムカメラを条件に応じて使用しております。 また、調査を始める前には居住者(権利者)の方に、調査の主旨、内容、所要時間などを丁寧にご説明いたします。

主な調査箇所は次の通りです。

戸建住宅 内装・外壁材、土間・犬走り、建具類、境界塀、側溝、石積みなど
集合住宅 共用部、屋外工作物、駐車場、部屋内部(※要打合せ)など

事後家屋調査

工事後(または工事中)の家屋調査は、工事の影響を懸念するお申出があった場合や、アンケート等による聞き取り調査を行ってからの実施となります。 作業内容は事前家屋調査で作成した資料・報告書との比較が中心となります。 なお、事前調査を行っていない場合の調査(事後のみ)は、被害判定に関してはお受けできませんが、参考調査として対応させていただきます。

■変化が確認された場合
万が一、事前調査資料との変化が確認された場合は、その変状に対する工事との因果関係(有無も含めて)の把握を行い、被害の程度と範囲を具体的な数値を示しながら、 わかりやすくご報告いたします。報告資料は応急処置や復旧計画等にもご活用いただけます。

■変化が確認されなかった場合
調査の結果、被害・変状が確認されなかった場合には、その旨を対象居住者(権利者)の方へ丁寧にご説明いたします。 また、必要に応じて確認書(未被害に対する同意書)を頂戴しております。

近隣家屋調査(補償業務)

■補償算定業務(公共事業)
ケンセイは補償コンサルタント協会の正会員として、長年にわたり活動しております。 公共事業が原因で発生した損失に対しては、適正な補償(復旧)費用の算定を行うことで、円滑かつ早期に補償交渉が進められるようお手伝いをしております。

工事被害について

被害発生のメカニズムとして挙げられるものに「工事振動」と「地盤変動」があります。

「工事振動」は重機等から発生するエネルギーにより家屋に影響を与えるものになります。 保持力があまり強くない構造物から影響が出やすく、内外装やタイル・石積みなどの接着をはがしたり、窓枠やドア軸に歪みを生じさせるケースがあります。 また、実際に居住されている方であれば、工事中の揺れや衝撃を感じ続けることで、精神的に参ってしまうことのほうが多いかもしれません。
心情的な影響についても留意されるところですが、建物自体が丈夫であれば大きな被害には繋がりにくいものと考えられます。

「地盤変動」は地中の土圧バランスが乱れることにより家屋に影響を与えるものになります。 掘削・圧密等が原因となることが多く、土留めの不良(土の流出)、基礎杭や埋設物の撤去(空洞化)、地下水の枯渇(地下水位の変化)などの事例があります。 これらに加えて、河川や海沿いに近い地域、斜度の大きい造成区域などに建物がある場合は、変動レベルが膨らみやすいため注意が必要です。
掘削位置や深さ、工法等の条件によっては、家屋の基礎部分にまで影響が及び、甚大な被害・損失に繋がるケースも考えられます。

■工事以外の原因

家屋を長年使用していると、経年劣化による変状や地震・災害等による影響も少なからず出てきます。 また、新しく作られた土地や地下水位の高い地域では、地盤が安定するまで時間が掛かることもあります。
調査により部材のヒビ割れや隙間が確認されたとしても、工事以外の原因である可能性も排除できませんので、原因の特定には慎重さが求められます。

近隣家屋調査(内部調査)
近隣家屋調査(外部調査)

ご訪問時の流れ

工事前調査における当日の流れ(作業プロセス)についてご説明いたします。

【1】調書作成

調査を始めるにあたり、対象物件の居住者(権利者)の方にいくつかご質問いたします。 その内容は、権利者の方のお名前、ご連絡先、家屋の築年数(概算)、井戸水のご利用状況などになります。
また、内部調査の場合には、プライバシーにも配慮しながら作業いたしますので、入室してほしくないお部屋などございましたら、事前に遠慮なくお申し付けください。

【2】野帳作成

調査内容の記録用紙(野帳)を同行しているアシスタントが作成いたします。 これは調査時に計測・撮影した場所が後でわかるように、家屋の配置図(間取り)を簡単にスケッチしておく作業になります。 少しお時間を頂戴しますので、ご了解を得た上で【1】の調書作成と分担・並行して進めさせていただきます。

【3】調査開始

現状の建築部材や外構・エクステリアなどの状態を把握するとともに、確認された隙間や亀裂、不具合等を計測いたします。 また、柱や床面から数ヵ所程度選定して垂直・水平(傾斜)測定もあわせて実施いたします。計測した内容は小型ボードに記載の上、写真撮影を行い記録いたします。

近隣家屋調査(傾斜測定)
近隣家屋調査(野帳)

※なお、この調査は把握しておくべき箇所を仕様書(公共)や自社基準により選定して行いますので、すべての箇所を計測するものではございません。 ただし、調べておいてほしい箇所など気になる点がございましたら、可能な範囲で対応いたしますので、気兼ねなくスタッフにお伝えください。

【4】測量作業

敷地内から数ヵ所程度選定して水準(レベル)測量を実施いたします。 これは対象家屋の地盤高の変化に備えたものになりますので、比較ポイント(基準点)は現場から少し離れた場所に設定いたします。 広範囲にわたる場合は、周辺の対象物件をまとめて計測させていただくようなケースもございますので、あらかじめご了承ください。

近隣家屋調査(レベル測量)
近隣家屋調査(境界塀)

【5】作業終了

作業終了のご報告の際、書類にご署名(サイン)とお認印(簡易な印鑑)を頂戴しております。 この書類の趣旨は「居住者の方に了承を得て(無断ではなく)作業を実施しました。」というものになります。

調査の対象範囲とその作業時間につきましては、担当スタッフから事前にご説明いたします。標準的な時間は次の通りとなっております。

■内部・外部調査 90~120分
■外部調査 60~90分
■工事面調査 30~60分

当日の流れについては、以上となります。

なお、井戸水のご利用がある場合は、採水等の作業を実施することもございます。

井戸・水質検査について

その他、補足のQ&Aをご参考ください。

【Q】どれくらいの影響が出ますか?
【A】一概には言えません。不確定な状況に備えた対策調査です。

【Q】内部調査は断れますか?
【A】ご意向を尊重いたします。その際は、外部調査のみ対応いたします。

【Q】準備しておくことはありますか?
【A】工事面側へ往来できるように、ご配慮いただければ幸いです。

【Q】家具や置物は移動しますか?
【A】必要があれば、当社で一時移動させていただきます。

【Q】調査中は何をすればいいですか?
【A】ご自由になさってください。出来る限り速やかに完了いたします。

事業損失部門に特化

ケンセイは補償コンサルタント業の事業損失部門に登録しており、この部門に集中・特化してきました。 ほかの部門(公共用地の測量、移転補償など)も含めて営業している会社や、部門登録自体を行わずに民間需要のみに対応している会社がある中で、 当社のような営業スタイルは、関西地域に限らず全国的にも希少な存在です。

公共・民間需要を問わず、マルチに対応できる現場体制を整えており、数多くの調査事例を経験・蓄積することで、スタッフの人材育成にも役立っています。

事業損失について