管路事業Maintenance
管路事業について
災害や老朽化により下水道が壊れてしまうと、人々の生活や経済活動に大きな支障をきたします。 このような心配を取り除くためには、定期的な保守点検と、施設の改築・修繕(管更生工事)が欠かせません。 多くの管路施設が耐用年数を経過する中、ケンセイは見えないところで下水道を守り、都市環境を支えています。
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管更生工事について
管更生工事(内面被覆)とは、地中に埋設されている下水道管を、非開削(掘削しない)で補強・リニューアルする工法です。
開削を伴うリニューアル工事は、既設管と新設管の入替えを行いますので、近くの埋設物件(水道・ガスなど)への物損に注意を払ったり、
水の流れをバイパスさせる工程が必要となります。そのため、交通事情が厳しく地下構造が複雑な都市部においては、大きな障害となることもあります。
その点、管更生工事の場合は、既存のライフラインはそのままで最小限のスペースで施工可能であり、
小さいものであれば1スパン(マンホール間)を2~3日程度で完了できるなど、リニューアル工法として多くのメリットが挙げられます。
更生材料には温水や蒸気、光(紫外線)などに反応する合成樹脂を利用します。 現場条件や材料特性、経済性などの研究・開発が進み、次のような工法タイプが確立されています。
■現場硬化管(CIPP)タイプ
工場で製造した反応性材料を保存搬入、管路内面に形成の上、養生・硬化させるタイプです。施工性に優れており、材料強度や厚みを選択することもできます。
更生材料には熱硬化性・光硬化性のある不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ビニルエステル樹脂(VE)などを利用します。
全国で約400~500km/年の実績があります。
■密着管(クローズフィット)タイプ
工場製品を蒸気熱で一時軟化、管路内面にて復元・密着させるタイプです。施工時に化学反応を必要としないため、材料品質が安定しています。
更生材料には熱可塑性のあるポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)などを利用します。
全国で約50~100km/年の実績があります。
■製管(組立)タイプ
主に大口径管(φ800mm以上)で利用されるタイプです。
スパイラル式(螺旋嵌合)又はセグメント式(パネル嵌合)で管路内面に更生管を組立てた後、既設管との隙間をモルタルペースト等で充填する工法です。
更生材料にはポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)などのほか、補強鋼材が含まれる場合もあります。
全国で約100~150km/年の実績があります。
■部分補修(修繕)タイプ
全面更生(1スパンすべて)に対して、必要な範囲を分割更生させるタイプです。既設管の状態を見ながら補修位置を選択することができます。
熱・光硬化のほか常温硬化タイプもあり、工法によっては現場製造することも可能です。
更生材料にはビニルエステル樹脂(VE)、エポキシ樹脂(EP)などを利用します。
全国で約2~3万箇所/年の実績があります。
■鞘管(連続挿入)タイプ
更生用に加工した新管を連続挿入させるタイプです。施工条件は限定されますが、物理・化学反応の利用が困難な環境では優位性があります。 更生材料にはステンレス(SUS)や強化プラスチック複合管(FRPM)などを利用します。
■人孔更生(防食)タイプ
人孔(マンホール内)や処理施設を更生・防食させるタイプです。施工方法は現場硬化や組立・充填、積層塗付など、使用する材料も含めて様々です。 また、災害時の浮上防止対策を目的とした改良工法もあります。
◇上水道管の更生
上記の下水道管(汚水処理)に対して、上水道管(生活用水等)の更生工法も一部開発されています。
◇給排水管のライニング
建物内の給排水管(≒φ200mm以下)を塗膜防食する工法もあります。気流やピグ(球体)を利用してエポキシ樹脂(EP)などをコーティングさせます。 なお、このライニングは「管内更生」と呼ばれており、本ページの管更生工事「管路更生」とは区別されています。
いずれにおいても、既設管に対して更生材料を内面被覆させる手法は、耐震性能の向上も期待できるため、地震対策としても有効な修繕方法といえます。
現在、全国で約49万kmの下水道管が布設されていますが、道路やトンネルなどの社会インフラと同様に近年、次々と更新時期を迎えています。 管更生工事は老朽化対策としてスピードと安全性を兼ね備えており、下水道事業にとって重要な役割を担っています。
開削工事との関係性
下水道管のリニューアル・長寿命化対策を進めていく中で、管更生工事と開削工事は相互補完の関係性にあります。 既設管の状態があまりにも悪い場合や、構造変更を加える場合などには、開削工事で設計・選択されることになります。 どちらが優れているという内容ではありません。それぞれに技術的・経済的な利点が存在しています。